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Metal Intersections-3 BABY METALはメタルなのか

※この記事は、過去に別ブログにて掲載した記事の再掲載です。

 

今回はアルバム評ではなく、音楽について、メタルについて考える一項を。

 

問:BABY METALはメタルなのか

 

 

BABY METALについてである。コレがメタルであるかどうかは一時期それなりにメタル界隈を騒がせたようで、Burrnはエンターテイメントとしての価値について一定の評価をしつつ取り上げない方針(売り込みに来ないからという記述は割と本心である気もするが)のようだ。個人的にはもう少し歪んだ見方をしていて、頼むからこれ以上おかしな日本文化の輸出の仕方はよしてくれ、という感じである。メタルであるかどうか以前の問題として日本人としてこれ以上はご容赦願いたいところなのである。

 

BABY METALが海外で広く受け入れられていることは承知しているし、それは一つのエンターテイメントの成功例と見て良いだろう。コンセプトも極めてシンプルで分かりやすく、海外受けしそうなテーマに絞った楽曲(それはつまりニンジャ・ハラキリ・スシ・テンプラーな日本像とそれほど大差ないのだが)を、いかにも日本人アイドル的な風貌を持つ女の子三人が「メタル調」でやる。そりゃ受けますよ海外では。

 

極端な話をしてしまえば、BABY METALの楽曲そのものはヴォーカルのヘッポコぶりさえ聞かなかったことにすれば十分にメタルだし、メタル好きに刺さる音作りもしていると思う。だが融合「してしまった」アイドル的部分、すなわち、BABY METALBABY METALたらしめている部分が究極的にメタルの対局にある点、エンターテイメントとしては突き抜けているがメタルとしては全くナンセンスで本来ならば評価の対象外にあるべきものである。間違ってもBABY METAL is Japanese METAL BAND.ではない。そんなエンタメチームが何とも胡散臭い、パラレルワールドな日本文化めいた何かを海外に発信なんかしようとするならば、それはもう前述のとおり、一般的な日本人としては、「頼むからこれ以上誤解を招くようなことはしてくれるな」なのである。まあ冗談みたいなものだと分かってくれることを願うしかないし、殆どのリスナーはそこらへんもきちんと弁えてくれそうではあるけれど、やはり見ていて決して気持ちの良いものではない。

 

これはものすごく個人的な意見。現在の日本はさまざまな経緯が手伝ってのことだけれど、メタルは「イロモノ」としてしか(少なくともメジャーシーンにおいては)生存できない市場環境だ。それはメジャーレーベルのかじ取り失敗もあろうし、ゼロ年代以降について言えばそういう売り方を率先して選択した(するしかなかった)バンドたち自身の責任もあるだろう。そういったイロモノ的感覚を上塗りするように、例えばD.M.Cのような、これまたメタルを誤解させるようなトンデモフィクションがそれなりに「売れてしまったり」する。Sex Machinegunsも特に初期はひどいイロモノだった(後期のアメリカンなメタルにかぶれまくった彼らの音楽が優れていたかどうかは別として)。だが、そういったアプローチそのものを否定するつもりはない点をこの場で強調しておきたい。状況の良くない市場において少なくとも商業的に生き残っていく上でより適切な選択肢を見つけ出すのは極めて困難なことだし、それはそのままBABY METALにも言えることだろう。ただ、それを音楽として、特にその中で「メタルとして」評するかどうか、というのはまるで違った話であることは理解を得られるのではないか。

 

BABY METALもまたそういった「イロモノ的アプローチ」の延長線上にあるものであることは間違いない。そういったアプローチにエンターテイメント的に特化し過ぎた結果として、少なくともBABY METALはメタルとして評価されるその資格を完全に失った。生き残るために、或いは売り出すためにそれが必要なことだったのかもしれないが、そんなものは何の言訳にもならないし、METALという語をシンボル的に扱うことさえしなければアレはただの、「ちょっとおかしな」アイドルの一派でしかないのだ。それを「メタルとして」評することなんか、出来ようはずもないし、そもそも当人たちもそれを望んではいないのではないか。

 

ピーター・バラカンは嫌いなものが二つ組み合わさって「世も末」と嘆いたらしいが、これが日本文化の発信源の一つとして容認されてしまう現状は確かに「世も末」なのかもしれない。日本人として誇りがあるならこの悪い冗談みたいな世界観、誰かが早めに止めるべきだと思うのだけれど、そういう事をすると「言論封殺」だのなんだのと頭があまり良くなさそうなのが騒ぎ出しそうなのだから、やはり「世も末」なのだろうね、きっと。

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