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次は司法書士とるぞ! おかげさまで行政書士試験は突破できました2020!交通安全アドバイザーのhigashiです。

噛み砕き民法-3:不在者制度

お疲れ様です。

さて、噛み砕き民法は、次は不在者制度に入っていきましょう。前回は胎児の回ということで、人の権利能力は生まれた時に発生していくよ。という話を少しいたしました。これとワンセットになるのが、死んだら消えるよ、ということなのですが、「生まれた」に比べて「死亡した」というのは、場合によっては確認ができない場合もあります。不慮の事故や戦争、地震などの大規模な災害などもそうですし、本人の意思で行方不明になっているようなケースもあります。オンラインゲームのように「●○さんがログアウトしました」というわけにはいきませんから、そこで法律の出番、というわけです。似たような制度が2本走っていますからまぜこぜにならないように整理していきましょう。一つは不在者財産管理制度、そしてもう一つは失踪宣告の制度ですね。今回はそのうち、不在者財産管理制度について見ていきます。

 

○誰がなるか

まず、法定代理人が既にいる場合はその人がなります。親権者であるとか、後見人、と言った人ですね。また、不在者自ら財産管理人を置いていて、なおかつ、その不在者が生きていることが明らかである場合はその管理人が行います。不在者が管理人を特に置いていなかったり、置いていたけれど既にその権限が消滅してしまっているような場合は、その人の利害関係人、つまりその人を相続する資格を持っている人であったり、その人に例えばお金を貸している、など、いわゆる債権者と言われるような人、あるいは検察官の請求によって家庭裁判所が必要な処分を命じる、ということになっています。

 

家庭裁判所が管理人を選任後に不在者である本人が自分で管理人を置いた場合は、その管理人や利害関係人、検察官の請求でその選任を取り消さなければいけません。ここで注意をしていきたいのは、この取り消しのプロセスが必要ですよ、という部分。本人が選んだから、裁判所の選んだ管理人が自動的にクビになる、というわけではありません。

 

上に、本人自ら管理人を置いて、なおかつ本人が生きていることが明らかであること、という記述をしました。これは、もし生死不明だったら、場合によっては管理人が好き放題を始めてしまう恐れがあるから、こういう書き方になっています。途中で本人が生死不明となってしまった場合、利害関係人、検察官の請求によって、家庭裁判所は、従来の管理人を不適当であるとして新しい管理人を選任するか、または、従来の管理人を監督します。

 

○管理人は何をできるか

この先、他の部分にも登場するフレーズなので覚えてしまいましょう。保存、利用、改良。これがワンセットです。基本となっている財産が1であるときにこれを1のまま保存したり、使ったり、1を2にしたりするのはOKだけれど、1を目減りさせてしまったり、処分してゼロにしてしまったりするのはダメ、ということです。ワンセットで、管理行為、と言ったりします。管理人が勝手にできるのはこの管理行為までで、これを超える行為をしたり、不在者の生死不明時に、不在者が自分で定めて言った権限を超える行為をしなければいけない時は、家庭裁判所の許可を得なければ管理人はすることができません。ちなみに、不在者についての裁判(建物収去土地明渡請求訴訟)で、反訴はできないけれど控訴、上告は特に家庭裁判所の許可がなくてもOKという判例があります。

 

○その他

家庭裁判所の選任した管理人は、管理すべき財産の目録を作成しなければなりません。この費用は不在者の財産から支出してOKです。また、家庭裁判所は、管理人に対して、財産の管理返還について相当の担保を立てさせることもできます。家庭裁判所選任の場合、家庭裁判所はいつでも解任できるし、管理人が自分で届出て辞任もできます。なお、管理人の報酬について法律では「与えることができる」と規定しており、必ず与えなければならないものとはしていません。

 

ざっくり噛み砕けましたか?

次回は失踪宣告制度に進みます!

お疲れ様でした。

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