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次は司法書士とるぞ! おかげさまで行政書士試験は突破できました2020!交通安全アドバイザーのhigashiです。

5.日数による逓減がない

今回も自賠責保険の続きです。少しずつマニアックな内容になってきますが、引き続きお付き合いください。

さて、交通事故の場合、赤本基準や任意保険の基準では、日数の経過によって1日あたりの慰謝料の金額が減額していきます。例えば、事故発生直後には1日あたり4000円であった慰謝料が365日経過すると1日あたり2600円程度になるわけです。365日で治療を終了し慰謝料を計算する場合、この例の数字で行くと、2600円に365日を乗じて94万9千円が慰謝料の金額になります。どのぐらい金額が下がっていくのかは各所様々ですから、この数字はあくまでも例です。

交通事故治療では、総日数と実日数という2種類の日数を基準として考えます。実日数は読んで字の如し、実際に病院にかかった日数です。1ヶ月の間に4回通院をしたら実日数は4となるわけですね。総日数は治療の期間と考えると分かりやすいと思います。事故発生し初診の通院を受けてから3ヶ月後に治療終了したら総日数は3ヶ月ですから、例えば4月、5月、6月ならば30+31+30で91日となります。

任意保険や赤本基準は総日数を基準として計算をしますが、自賠責保険の場合は日数の経過による金額の減少はありません。自賠責保険は独特のルールとして、通院実日数の二倍と総日数を比して少ない方に規定の金額である4300円を乗じて慰謝料を算出することになっています。この4300円が100日だろうが150日だろうが減額されない、これが自賠責保険のポイントの一つと言えるでしょう。120万円の枠の内側に収まっている以上は仮に治療に400日かかっていても、1日あたりの慰謝料は4300円のままです。よって、赤本基準ではまず心配入りませんが、任意保険基準で処理をすると自賠責の基準を下回ってしまう、といったことが発生してしまう場合があります。この場合は、自賠責保険の枠が残っている状況で自賠責保険以下の条件での示談は原則不可、ということで縛りをかけているようです。自賠責は最低限の損害賠償義務を果たすための保険ですから、そこからの給付を受けることができるにもかかわらずそれを下回った条件で任意保険会社が示談することは許されないということですね。

今回の部分は、交通事故賠償実務の全体像についてある程度掴めてからでないと少し分かりづらいかも知れません。この慰謝料計算の仕組みを理解していると、最終的にはかなり裏技的なテクニックも使えます。つまり、普通にやると回収不能な部分を無理矢理回収するようなことが出来てしまう……そ雨いったテクニックの入り口になる部分でもありますから、ぜひ記憶の片隅にとどめておいていただけたらと思います。

お疲れ様でした!

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