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次は司法書士とるぞ! おかげさまで行政書士試験は突破できました2020!交通安全アドバイザーのhigashiです。

自賠責保険の被害者請求 ①

​​​​​​​​​​​​​​​今は、牙を研ぎ澄ます時期...ということで本業が割と静かな状況ですので勉強に明け暮れている東浦です。好機なのかどうかは分からないけれど、一段階、知識量を高めることの出来る時期に出来たら良いですね。

今回は、自賠責保険活用の第一弾として、「被害者請求」を取り上げます。通常、交通事故の人身損害は、事故の相手方が面倒を見てくれます。もう少し正確に言うと、事故の相手方加入の任意保険が面倒を見てくれます。ところが、様々なケースでそれが機能しない。被害者請求は、そういったシーンで利用することになる制度です。(今回は、自己の加入する任意保険の搭傷、人傷は無いものとします)

○相手側保険が​​​機能しない​​ケース

①そもそも相手が​​任意保険に入っていない​
​......二輪車が相手だと多いケース
②任意保険はあるが、こちら側の過失がかなり大きいと考えられ、​一括対応してもらえない
...自分自身の加入している保険も対応出来ないケースで生じるパターン
③その他、例外的なケース(事故証明とれてるけど相手逃げてる、等)

○実際の請求の流れ

①事故発生の警察への届け


必ず現場で、仮に相手が逃げたとしても行います。相手不明でも事故証明を発行出来るケースがあり、最悪、自賠責すら使えない状態でも自身加入の保険で面倒を見てもらえることも。そもそも、相手がいる事故の場合、警察への通報は義務!

②何らかの状況で相手が対応しない...けれど怪我を負っている状況の発生


病院へ行きましょう。1にも2にも、交通事故の場合で頭を打っていなければ整形外科! この時、初診前に接骨院/整骨院へ行かないようにしましょう。似ているけれど、あれらは「医師」ではありませんので、保険請求に有効な診断を単独で出せません。あくまでも、医師の診断に基づいて施術を行い、その証明を発行出来るに過ぎません。また、相手が病院治療費の対応も何も行ってくれない場合、自身で立て替えて支払うことになりますが、通常、交通事故で用いる自由診療は高額です。(某大手病院では検査のみで6万円ということも)自賠責保険でこれを回収することになるのですが、立替すらきつい!ということも当然ありますから、その場合は個々人で加入している健康保険等を使用します。嫌がる病院も多いのですが、交通事故でもきちんと手続きを踏めば健康保険は使えますし、健康保険を使っても自賠責は問題なく回収できます。この辺は長くなりますので、また別稿で。

※実務上、1回でも整形外科に行き診断がつけば、後は全部接骨院でも自賠責保険上は問題ありません。

③整形外科受診、診断書の取り付け


ここからが少しややこしい...病院が発行してくれる診断書には用途別に種類があります。今回は被害者請求に関わってくる2つを御紹介。

◆警察の処理を人身事故に切り替えるための診断書(いわゆる、一般的な診断書)
自賠責保険は「人身事故」にしか原則として使用出来ないため、特に相手側に義理もなければ管轄警察に診断書を提出して、処理を人身事故にしてしまっても構いません。相手の免許にダメージが行くだけです。但し、物件事故から人身に切り替えると、検分等もう1度行うことになるので、自分もちょっと面倒です。自賠責保険では、軽微な負傷等の場合のために、物件事故のままでも保険請求が出来る制度​「人身事故証明書入手不能理由書」​というものがありますので、実務的には物件のままでも大丈夫です。書類が1枚増えるだけ。

自賠責保険請求用の診断書(専用の様式です)
自賠責保険請求専用の様式で、これを取り付けなければ被害者請求出来ません。病院で5000円ほどで発行してもらえます。注意点として、診療報酬明細書(後で説明します)とリンクしていなければならないので、自賠責保険請求のタイミングでセットで作ってもらいます。(診察の都度などでつくってもらう必要はありません)

④診療報酬明細書


どんな治療で、どんな点数単価で行われたかの分かる明細です。新基準と旧基準、2種類あるので、診察を受けた病院に訊きましょう。なお、どちらの書類も先述の通り、自賠責保険請求のタイミングで作成を依頼します。初診から治癒まで1回で請求をする場合は治療終了後で構いません。立替金が大きくなってしまうことが不都合である場合、自賠責保険は一定の枠(120万円)を使い切るまでは何度でも分割して請求することが出来ますので、例えば月次ごとに作成を受け、毎月請求することも可能です。休業損害金が生じているケースや、我々のように業務的に請求する場合はこちらのパターンが多いです。

自賠責用診断書、診療報酬明細書は原則、ブランクの書類を病院に提出して作成を受けることになりますから、あらかじめネット等で取得し、持参するようにしましょう。

※健康保険で受診している場合は、​通常、診療報酬明細書は健保に送付されるため発行を受けることが出来ません​。その場合は、窓口で料金を支払った際の「領収書 兼 明細書」をかわりに使用します。注意点として、同じ窓口支払いであっても自由診療の場合は診療報酬明細書を取り付けなければなりません。自由診療で窓口支払いを行うケースでも「領収書 兼 明細書」は発行されますが、この場合、自賠責保険請求をしても書類不足で電話がかかってきます。どちらかわからない場合は「領収書 兼 明細書」をよく確認すると「自費」や「協けん」だったり、負担割合3割や10割と記載されていると思います。自費や10割は、いわゆる自由診療、協けんは「協会けんぽ」の略で3割は健康保険での窓口負担割合のおとで、健康保険利用であることを意味します。(もちろん、保険証の種別によっては協けんでないこともあります)このあたりで見分けましょう。

④いよいよ請求! 以下の書類を用意します


自賠責保険様式の診断書
自賠責保険様式の診療報酬明細書
・印鑑証明 × 1
・事故証明 × 1(交番で申請書をもらい、郵便局経由で申請。自宅に届きます。今はネットでも可!)
※事故証明は「人身事故」と記載されているものとします。されていない場合はこの他に、先述の「入手不能理由書」が必要です。
※今回は休業損害はないものとします。

後篇では、実際の書面サンプルを使用して、自賠責保険請求書を作成してみます。

東浦でした。​​​

 

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